この記事では、PVL(脳室周囲白質軟化症)について、医師から説明を受けた時に知っておきたい基本的な知識を、当事者の視点からお伝えします。
専門用語も多く難しい内容ですが、できるだけ分かりやすく説明していきます。
PVLとは何か
PVL(Periventricular Leukomalacia)は、「脳室周囲白質軟化症」と呼ばれる脳の疾患です。
簡単に言うと
脳の中心部分(脳室の周り)にある「白質」という部分が、酸素不足などの原因で損傷を受けた状態のことです。
なぜ「白質」が重要なのか
白質は、脳の情報を伝える「配線」のような役割をしています。この部分が損傷すると、脳からの指令が手足に正しく伝わりにくくなり、運動機能に影響が出ることがあります。
PVLの原因
PVLの主な原因として、以下のようなものがあります:
- 早産による未熟性 - 脳血管が未発達な状態での出生
- 酸素不足(低酸素症) - 出生前後の酸素供給不足
- 血流障害 - 脳への血流が不安定になる状態
- 感染症 - 妊娠中の母体感染や新生児期の感染
大切なこと
PVLは誰の責任でもありません。妊娠中や出産時に十分注意していても起こりうることです。自分を責める必要は全くありません。
症状と影響
PVLによる影響は個人差が大きく、症状の程度も様々です。
主な症状
- 運動機能への影響
- 筋緊張の変化(低緊張・高緊張)
- 運動発達の遅れ
- 歩行の困難
- 手足の動きのコントロールの困難
- その他の影響
- 言語発達への影響(個人差あり)
- 認知機能への影響(個人差あり)
- 視覚・聴覚への影響(場合によって)
診断方法
PVLの診断は、主に以下の方法で行われます:
- MRI検査 - 脳の状態を詳しく確認
- 超音波検査 - 新生児期の早期発見に使用
- 発達評価 - 運動発達や認知発達の評価
治療とサポート
現在のところ、PVLそのものを治す治療法はありませんが、様々なサポート方法があります。
リハビリテーション
- 理学療法(PT) - 運動機能の向上
- 作業療法(OT) - 日常生活動作の練習
- 言語療法(ST) - 言語・コミュニケーション支援
装具・補助具
- 下肢装具(AFO、KAFO など)
- 車椅子
- 歩行器
- 座位保持装置
医療的ケア
- 痙縮に対する薬物療法
- ボツリヌス療法
- 外科的治療(選択的脊髄後根切断術など)
日常生活で大切なこと
家族ができること
- 早期からのリハビリ - 可能性を最大限に引き出す
- 継続的なサポート - 長期的な視点での支援
- 環境整備 - 生活しやすい環境づくり
- 社会資源の活用 - 制度やサービスの利用
- 家族のケア - 家族自身の心身の健康管理
希望を持って
PVLと診断されると、最初は不安や戸惑いでいっぱいになるかもしれません。私たちも同じような気持ちを経験しました。
しかし、適切なサポートと継続的なリハビリテーションにより、お子様の可能性を最大限に引き出すことができます。また、技術の進歩により、新しい治療法や支援技術も開発され続けています。
大切なメッセージ
PVLは一つの状態であって、お子様の全てを決めるものではありません。一人ひとりに無限の可能性があります。
私たちと一緒に、希望を持って歩んでいきましょう。
参考になる情報源
- 日本小児神経学会
- 全国肢体不自由児者父母の会連合会
- 各都道府県の療育センター
- 主治医・リハビリスタッフ